のこぎりそう (鋸草)
学名 |
Achillea alpina subsp. alpina var. longiligulata
(A. sibirica) |
日本名 |
ノコギリソウ |
科名(日本名) |
キク科 |
日本語別名 |
ハゴロモソウ(羽衣草) |
漢名 |
蓍(シ,shī)、高山蓍(コウサンシ,gāoshānshī) |
科名(漢名) |
菊(キク,jú)科 |
漢語別名 |
蓍草(シソウ,shīcăo)、鋸齒草(キョシソウ,jùchĭcăo)・鋸草、
一支蒿(イッシコウ,yizhihao)、蚰蜒草(ユウエンソウ,yóuyáncăo)、
蜈蚣蒿(ゴコウコウ,wúgōnghāo)・蜈蚣草、飛天蜈蚣、羽衣草、 |
英名 |
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2016/08/25 長野県霧ヶ峰 |
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2005/06/21 薬用植物園 |
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辨 |
Achillea alpina には、次のような種内分類群がある。
ノコギリソウ(広義) A. alpina(蓍・蓍草・高山蓍・羽衣草・蚰蜒草・鋸齒草)
subsp. alpina(A. sibirica)『中国雑草原色図鑑』227
ヤマノコギリソウ var. discoidea(A.ptarmicoides,
A.sibirica var.ptarmicoides, A.sibirica var.discoidea;短瓣蓍)
本州中部以北・朝鮮・河北・東北・モンゴリア・極東ロシア産
『朝日百科 世界の植物』1-114・『中国本草図録』Ⅴ/2345
ノコギリソウ var. longiligulata(Ptarmica sibirica,
Ptarmica alpina;蓍) 北海道・本州産
シュムシュノコギリソウ subsp. camtschatica(A.sibirica subsp.camtschatica,
A.camtschatica, Ptarmica camtschatica) 北海道・千島・樺太・カムチャツカ産
キタノコギリソウ subsp. japonica(A.sibirica var.angustifolia, A.sibirica
var.japonica, A.pulchra var.angustifolia, A. japonica,
Ptarmica japonica;日本蓍)
北海道・本州(中部以北)・千島・樺太産
subsp. multiflora(A.multiflora) カナダ・アラスカ産
アカバナエゾノコギリソウ subsp. pulchra(A.pulchra, A.sibirica var.pulchra)
北海道産
subsp. rhodoptarmica(A.rhodoptarmica) 朝鮮北部産
アソノコギリソウ subsp. subcartilaginea(A. subcartilaginea, A.sibirica
var.brevidens, A.sibirica subsp.subcartilaginea, A.alpina
var.brevidens) 九州産
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ノコギリソウ属 Achillea(蓍 shī 屬)には、北半球の亜熱帯・温帯(主として地中海地方・歐洲)に約110-130種がある。
incl. Ptarmica
A. acuminata(Ptarmica acuminata;齒葉蓍・單葉蓍)
朝鮮・中国東北・西北・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産 『中国本草図録』Ⅵ/2871
イチゲノコギリソウ A. ageratifolia(銀毛蓍草)
エダウチノコギリソウ A. ageratum(常春蓍草)
ノコギリソウ(広義) A. alpina(蓍・高山蓍)
subsp. alpina
ヤマノコギリソウ var. discoidea(短瓣蓍)
ノコギリソウ var. longiligulata(蓍)
シュムシュノコギリソウ subsp. camtschatica
キタノコギリソウ subsp. japonica(日本蓍)
A. asiatica(亞洲蓍) 河北・東北・モンゴリア・極東ロシア・シベリア・中央アジア・歐洲ロシアに産
A. atrata(E.Dark-stemmed sneezewort) アルプス産
ギンバノコギリソウ A. clavennae(E.Silvery milfoil) アルプス・バルカン半島産
キバナノコギリソウ A. filipendulina コーカサス原産
A. impatiens(褐苞蓍) アルタイ山脈産
A. ledebourii(Ptarmica ledebourii;阿爾泰蓍) アルタイ山脈産
セイヨウノコギリソウ A. millefolium(蓍・鋸草・洋蓍草・千葉蓍;
E.Common yarrow, Milfoil) ヨーロッパ・アジア・北アメリカに分布、
日本では帰化。『中国雑草原色図鑑』227
var. rosea(粉花蓍草)
var. rubrum(紅花蓍草)
ケノコギリソウ(チャボノコギリソウ) A. nana(E.Dwarf milfoil) アルプス産
A. ptarmica
subsp. macrocephala
エゾノコギリソウ var. speciosa(A. macrocephala, A.speciosa)
ホソバエゾノコギリソウ var. yezoensis
オオバナノコギリソウ subsp. ptarmica(珠蓍)
A. salicifolia(Ptarmica salicifolia;柳葉蓍) 東歐・中央アジア・シベリア産
A. setacea(絲葉蓍) 歐洲・カフカス・西&中央アジア産
ヒメノコギリソウ A. tomentosa(絨毛蓍草) 南歐産
A. wilsoniana(雲南蓍・西南蓍草・一支蒿・茅草一支蒿・白花一支蒿・飛天蜈蚣・蓍草)
飛天蜈蚣・蓍草)『雲南の植物Ⅰ』220・『中国本草図録』Ⅳ/1879 河南・山西・陝甘・西南産
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キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。 |
訓 |
漢名蓍(シ,shī)は、古く彼の地でこの草の茎をめどぎに用いたことと係る。
李時珍『本草綱目』(ca.1596)の釈名に、「陸佃『埤雅』に云う、草の寿 多き者、故に字は耆(キ,qí,年老の意)に従う、と。『博物誌』に言う、蓍は、千歳にして三百茎、其の本已に老ゆ、故に吉凶を知る、と」と。
なお、日本で昔めどぎに用いた草は、メドハギ。 |
『本草和名』蓍實に、「和名女止久佐」と。
『倭名類聚抄』蓍に、「和名女止」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「蓍 アシクサ メドクサ 同上 メドギ ノコギリサウ ハゴロモ ガンギサウ モシホグサ カラヨモギ勢州 ヤマクサ江州 サシヨモギ備前 コサンシチ チトメグサ倶ニ同上 ノコギリバ越前」と。 |
学名の属名 Achillea は、ギリシア神話の中で、トロイア戦争の英雄アキレウス Akhilleus(Lat.Achilles)が、セイヨウノコギリソウの薬効を発見したという伝説に基づく。 |
説 |
北海道・本州に分布。 |
誌 |
中国では、ノコギリソウ A.alpina(蓍草)などの全草を蓍草(シソウ,shīcăo)・一支蒿と呼び薬用にする(〇印は正品)。 『全国中草葯匯編』上/875-876 『(修訂)
中葯志』IV/687-692 『中葯大辞典』
〇ノコギリソウ A. alpina(蓍・高山蓍)
セイヨウノコギリソウ A. millefolium(蓍・洋蓍草・千葉蓍)
A. wilsoniana(雲南蓍・西南蓍草)
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日本では、古くから観賞用・薬用に栽培する。
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 夏之部」に、「鋸草 末。花白し。葉にのこぎりのはのごとく成きざあり」と。 |
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